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ブログ 2016年06月04日
鹿児島での歯周病学会は、参加者が多く会場に入りきらないため、2カ所に分かれて各セッションが行われました。メイン会場は西郷さんの銅像のすぐ近く宝山ホール(鹿児島県文化センター)という所で、西郷隆盛、大久保利通、篤姫の格好をしたボランティアの方と一緒に記念撮影ができる観光スポットにもなっています。
ベルン大学の教授をはじめ、著名な大学教授や臨床医の先生の講演を聞きました。 もちろん、臨床的なテクニックやその結果等すばらしいものでしたが、中でも印象に残ったのが歯科医師会が平成元年に始めた8020運動のことでした。 皆さんご存知かと思いますが、80歳で20本の機能している歯を残そうという運動で、歯周病学会も深くその活動にかかわっています。 昭和62年から平成23年の各年代の平均現在歯数の経過を表にしめします。
この運動を開始する前の昭和62年には80〜84歳の方は平均4本しか歯が残っていませんでした。当時、歯科医師会の中でもこんな状況から20本の歯を残そうなんて荒唐無稽な話だと思われていました。それが24年後、平成23年の調査では同じ80〜84歳の年代で12本の歯が残っています。20本は無理でも以前の3倍も歯が残っているのがわかります。
さらにこの調査結果から、それぞれの世代がどれくらい歯の喪失数が変化しているのかもある程度わかります。世代の分類が5歳刻みで、調査が6年おきであるため全く同じ年代での移り変わりではありませんが、平均20本以上残っているのは昭和62年は50〜54歳の年代までだったのが、平成23年は65〜69歳の年代までになり、次の平成29年の調査では70〜74歳の世代で約20本の歯が残っていると予想されます。
以前の歯科医は虫歯を削ってかぶせる、悪くなったら抜歯してブリッジや入れ歯を入れるなどといった治療を中心に行っていたのが、歯周病を治療すれば抜歯せずにもっと歯を残せるという意識改革が浸透してきたためで、これをさらに広げていくことで目標に近づけるのではないかと講師の先生は分析されていました。
また、先程の表とは別に、かかりつけ歯科医を持つ患者さんとかかりつけ歯科医を持たない患者さんでは歯を喪失するリスクは約5倍高くなるという統計結果も出ています。
今日6月4日からは歯と口の健康週間です。いろいろなところでイベントも開催される予定で私も一部行事に参加します。皆さんの健口作りのきっかけになればと思います。